今回はパソコン用モニター、【DELL U3415W】のレビュー…
というよりは、「4K!4K!」言われてる中、
なぜこのモニターを選んだのか。
この【U3415W】というモニターは、次世代モニターの標準である4K(3840×2160)とは異なり、3440×1440という変態(=標準的でない)解像度なのです。
単純に一回り小さいというわけではなく、
そもそも縦横比から違うんです。
4Kの縦横比16:9(テレビと同じ比率)に対して、この変態モニターは21:9。
4Kより3割横長です。
お値段も約10万円と4Kが十分に買える価格なのに、なぜ敢えて低解像度で変態なものを選んだのか。
「4Kが良さそう…?」と安易に考えてる人にはぜひ読んで欲しい。
変態モニターが4Kに劣る科学的根拠はないのだ!
まずは【U3415W】の解像度について
現在のモニターの多くは1920×1080という「フルHD(以下FHD)」と呼ばれる解像度です。
(ハイビジョンではありません、ハイディフィニションです)
高解像度のモニターが欲しい人には「4K」と呼ばれる3840×2160ののものが人気のようです。
今回僕が買ったのは「UWQHD(以下、変態)」という規格のやつで、解像度は3440×1440です。
並べて比較すると↓こんな感じ。
FHDと4Kの関係は単純に縦横2倍で分かりやすいですね。
それに対して変態は、FHD比で幅は2倍よりちょっと小さく、高さはちょっとだけ増えるというなんとも中途半端な解像度。
以前のモニター環境と買い換えた理由
なぜモニター買い換えたのかを分かりやすくするために、先にリニューアル前のモニター環境を…。
メインモニター!
NECのLCD-EA294WMi!
【DELL U3415W】と同じく21:9の変態モニターです。
解像度はちょっと低くて、2560×1080。
並べるとちょっと小さいです。
サブモニター!
NECのLCD2490WUXi!(縦置き)
こちらもやや変態なんですが、今回サブモニターも買い換えたので、詳しくはそっちの記事でお話しします。
両方カラーキャリブレーションに対応している機種で、専用ハードを使って色の設定を正確にできるのが売り。
2枚とも、特に2490の方は10年以上僕のパソコンライフを支えてくれた素晴らしい相棒でした。
なぜモニター交換をしたのか
第一に、タバコ吸ってる時代から使ってたモニターだったので、キャリブレーションがまともに機能していなかったこと(やたら黄色い)。
ついでに、発色の正確さがそれほど必要ではなくなったこと。
第二に、EA294WMiの高さ1080pxを不満に感じてきていたこと。
第三に、もうちょっと幅の大きいモニターが欲しいなーと思っていたこと。
この3つが理由です。
高さ1080pxのモニターって絶妙に使いづらいと思うんだ
第一のタバコは置いておいて、第二の理由「高さ1080pxの物足りなさ」についてまずはお話ししましょう。
みなさんパソコン使ってて、「あともうちょっとだけ高さがほしい!」って思ったことないですか?
僕はけっこうあってですね、例えば↓コレ。
みんな大好き、MicrosoftのWord。
そしてみんな大好きA4。
これを高さ1080pxのモニターで表示すると…。
見てください。
下4分の1くらいがスクロールしないと見えません。
それもそのはず、A4を拡大率100%(そのままの大きさ)で全体を表示するにはウィンドウの高さが1340pxくらい必要だからです。
それに対して高さ1080pxのモニターは、タスクバーに40px(Windows10の場合)取られて1040pxしか表示領域がありません。 300pxも足りていない。
実際はWordの初期設定では65mmも余白があるので、余白を表示外へ追い出すよう微調整すると…
ギリギリ収まるか収まらないかのライン。
まぁ編集領域の大半が見えてるのでOKっちゃーOKなんですが、余白を「狭い」とか「やや狭い」にしようもんなら本格的に表示しきれません。
ところが今回の【DELL U3415W】だと↓この通り。
A4全体を表示しながら、さらにちょっと余裕がある(これもポイント高い)。
素晴らしい。
最高。
「スクロールすればいいだけでは?」
それはおっしゃる通り。
ですが、1ページ全体を確認しながら編集できるというのは非常に大きなメリットだと思ってます。
一度経験すると戻れません。
高さ1080のモニター使ってる人で、高さ768とかのノートPCがすんげー使いにくいと思ったことないですか?
アレと似た感じです。
変態解像度の最大の利点は、とにかく横幅が広い
お次は幅のお話。
なぜ縦横比16:9じゃダメだったのか。
それは…
16:9モニターってほんとに複数ウインドウ並べて作業できてる?
という点です。
初めて16:9モニター買った時、「ウィンドウ2つを同時に見ながら作業できる!」というのがものっそい魅力的だったんですよね。
(今の若い人は分からないと思いますが、昔は4:3のほぼ正方形モニターでした)
WordとExcelを並べて作業できる!
PhotoshopとIllustratorを並べて作業ができる!
みたいな?
ところが実際に使ってみると、雑にウインドウを配置するせいで、
2ウインドウ作業するにはちょっと足りない。
さらに悪い流れとして、ワイドモニターが主流になってるせいで、最近はアプリケーション自体がワイドモニター前提で設計されてるんですよね。
横長のウィンドウで作業しやすいインターフェイスになっている。
AdobeのPhotoshopやIllustratorなんかがこのタイプで、
ほら、もう2ウィンドウとか全然無理。
動画編集のAfter Effectsなんかはもっと顕著です。 MicrosoftのVisual Studioも横長の方が作業しやすいです。
後で出てきますが4KだとUI拡大前提のようなので、この問題は4Kモニターでも解消できません。
つまり快適なパソコン作業のためには、高さはそこそこに幅が広いものが必要なんです。
【DELL U3415W】ならこの通り!
【DELL U3415W】だと、フルHDに比べて幅80%アップ。 前に使っていた【NEC LCD-EA294WMi】に比べても35%アップなのでこの通り。
WordとExcelなんかヨユーヨユー↓。
(さっきと同じウィンドウサイズです)
PhotoshopとIllustratorもまぁなんとか↓。
(できればもっと大きくしたい)
調子に乗ってWord3枚並べてみたり↓。
幅よし!
高さよし!
かなり最高です。
素晴らしい!
なぜ4Kにしなかったのか
今回の【U3415W】と比べると、解像度的には4Kが完全に上位互換です。
最初に紹介した図↓だと一目瞭然。
にもかかわらずなぜ4Kにしなかったのか。
一番気になったのが「アプリケーションのメニューとか、Windowsのタスクバーとか、ちっちゃくなりすぎるのでは?」という問題。
高解像度モニターのデメリット:UIや文字が小さくなる
モニターの物理的な大きさ(何インチというやつ)はそのままに、解像度だけ上げていった場合、1pxの大きさはどんどん小さくなっていきます。
小さくなるとどうなるのか。
Windowsのタスクバーや、Wordなどのアプリケーションのメニューなど(ユーザーインターフェイス=UI)がどんどん小さくなってしまいます。
文字も同様に小さくなってしまいます。
すると、
操作しにくい!
読みにくい!
という事態になりかねません。
実際に比較してみましょう。
タスクバーはどれくらい小さくなるか
タスクバーはWindows10の場合、高さ40pxです。
これを、次の5つのモニターで表示した時にどのくらいの大きさで表示されるのかを調べました。
- 24インチのFHD (U2419H)
- 24インチの4K (P2415Q)
- 27インチの4K (U2720Q)
- 32インチの4K (U3219Q)
- 43インチの4K (U4320Q)
- 今回の変態解像度 (U3415W)
メーカーはDELLで統一しました。
DELLのサイトで出てきたやつをテキトーにチョイスしています。
24インチFHDの大きさを標準とし、他のモニターで相対的にどれくらいになるのかを表しています。
相対的に縮小している都合ぼやけていますが、実際の表示ではぼやけはありません。
単にちっちゃくなるだけ。
結果は↓これ。
実際に見える大きさに近いと考えてください。
個人的には、4Kは32インチからどうにか…という感じ。
Wordのメニューはどれくらい小さくなるのか
条件はタスクバーと同様です。
タスクバーよりも細かいレイアウトなので、差はより顕著ですね。
文字はどれくらい小さくなるのか
インターネットでよく見られるフォントサイズ16ptで比較しました。
変態解像度は小さくなりすぎず、とてもバランスがよさそうに見えます。
4Kにするなら32インチ…いや、43インチが欲しいな…個人的に。
UIや文字が小さくなるデメリット対策はちゃんとあった
操作性や文字の視認性を維持するにはインチ数と解像度のバランスが大事そうなのが分かりました。
4Kの場合、32インチはあった方がよさそう。
ですがAmazonで4Kモニターを見ていると、27インチや24インチが人気のようです。
世の4Kユーザーはこの問題にどう対処しているのか。
調べてみると、やっぱりタスクバーとかはちっちゃくて不満に感じている人がいるようで、これの解決策が「Windowsの設定でタスクバー他を拡大表示する」という方法。
は????
わざわざ4Kなんて高解像度モニターを買ったのに拡大表示????
言うなれば4K買ったのに性能を落としてFHDで使ってるようなもんです。
フルHDで十分だったのでは?
という何がしたいのか分からない事態は避けたかったので、4Kは除外しました。
4Kのメリットってなんだろう
まずは4K解像度でゲームや動画を楽しむというのがあるでしょう。
僕には必要なかったので考慮していませんが、この場合は4Kしか選択肢がありません。 4K未満のモニターでは逆立ちしてもできないことですからね。
その他には、さっき言ったような拡大表示設定にするせいで、画像や文字が綺麗に見えるそうです…。
ドットが細かくなるというか…。
(Retinaディスプレイのような感じ)
う、う~ん…
そ、そういう目的のために選ぶ人もいるのかもしれないですね…。
僕が使うわけじゃないのでどうでもいいですが、4K買う人は「本当に自分には4Kが必要なのか」をもう一度考えた方がいいと思います。 値段も高くつくんですし…。
たぶん一般用途だと2560*1440が一番バランスいいんじゃないかと思います。
人によったらフルHDでも十分だと思う。
解像度以外のレビュー
人間を運べそうなほどの箱!
見てください↓これ。
ドアの取っ手の位置でなんとなくのサイズ感が伝わるでしょう。
ガチで人間つめこめます。
おそらくこのモニターのレビューしている人はもれなく箱について触れていることでしょう。 圧倒的な存在感です。
幅98cm。
高さ50cm。
奥行き30cm。
98cm×50cm×30cm=14万7000立方cm=147リットルです。
一般的な成人男性が170cm 60kgの60リットルだそうなんで、余裕でひとり入ります。 頑張ればふたり入ります。
いや、無理だ!
現物見てもふたり入るイメージは沸かないので、中に入る時はひとりまでがおすすめです。
湾曲具合はどうなん?
解像度にばかり触れて、このモニターの最大の特徴とも言える点に触れていませんでした。
そう、このモニター、実は湾曲しているんです。
ワイドモニターは、横幅が大きくなればなるほど、中央と画面端でモニターまでの距離が変わってしまう問題点を抱えているんですが…
モニターを湾曲させることでこの問題をいくらか軽減することができます。
素晴らしい!
が……
明確なメリットに見えるこの湾曲、ちょっと気になっている点がありまして…。
(図のクオリティの低さには触れない)
モニター見てて「めっちゃ湾曲してるやん」みたいな感じってないのかな?
意味、伝わりますかね…。
自然に見えるよう湾曲してるはずが、その湾曲具合を脳が認識してしまって、逆に違和感になったりしないのかなって。
結論を言うと、全くそんなことありません。
ちゃんとそのあたりも考慮して設計されているんでしょう。 湾曲してないと言われても分からないくらい自然に見えてます。
心なしか、前の【LCD-EA294WMi】(湾曲してなかった)より、目や首も楽です。
(首が楽なのはとてもありがたい…)
U3415Wのダメなところ
HDMI端子が1個しかさせない
DELL公式サイトを見ると接続端子に「2xHDMI」とあるんですよね。
ところが現物にはHDMI端子は1個しかなく、モニターの設定画面でもHDMIは1個しかでてきません。
「HDMI 2.0」の誤植…?
サブPCもHDMIで接続予定だったので、ちょっとがっかり…。 というか、これはダメなんじゃないのか?
USB端子が背面にしかない
前に使っていたNECのLCD-EA294WMiには、モニター側面にUSB端子があったんですよね。
U3415Wには残念ながら背面のコネクタ類をさす部分と、外に出たこの1本だけです。
ちょっと不便…。
重さ10.8kg
重いです。
設置の際に腰にきます。
あと、大人気モニターアームのエルゴトロン LXの耐荷重11.3kgギリギリです。
ギリギリなのでちょっと怖くはあるんですが、耐荷重内ではあるので今のところ問題なく使えています。
ちなみに僕が使っているのはエルゴトロンではなく、OEMのAmazonベーシックのものです。 ちょっと安く買えます。
OEMなので当然こちらも耐荷重は11.3kg。
このモニターをおすすめできない人
34インチを置くスペースが確保できない人にはおすすめできません。
当たり前ですけどね。
パソコンモニターで34インチってけっこう大きいです。
34インチ置けない人は27インチで2560×1440とかがいいんじゃないですかね。
フルHDもありっちゃありですが、高さ1440pxを経験しちゃうともう1080pxには戻れそうにはありません。
27インチ置けるなら27インチの2560×1440。
無理なら24インチの2560×1440…はUIが小さくなりそうなので、24インチの1920×1200 (FHDより少し高さが大きい)をおすすめしたい。
こいつの有用性についてはサブモニター交換の記事でお話しします。
まとめ
DELLの【U3415W】というモニターを選んだ理由、使ってみた感じなどをご紹介しました!
僕にとっては今のところ最高のモニターと言ってしまっていいでしょう。
ですが残念ながら、「僕にとっての最高のモニター」が「他の人にとっての最高のモニター」であることは希だと思っています。
大事なのは、「自分がモニターに何を求めているのか」をしっかりと理解して、それに合わせてモニターを選ぶことです。
もし僕と同じことを求めている人がいたなら、このモニターは自信を持っておすすめできます。